Kindle15冊、そこで気づいたこと——印税より価値があったもの

Kindle15冊だしてわかった印税よりもかちあるもの電子書籍出版
  • Kindle出版コース受講から始まり、15冊出版・14冊が新着1位を獲得した実体験
  • 出版から数年後、休むと印税が下がっていく構造にぶつかった
  • 印税以外に残った「権威性」「信頼」という資産の価値


15冊のKindle本を出版し、そのうち14冊が新着ランキング1位を獲得しました。それでも、出版を休んだ10ヶ月で印税ははっきりと下がっていきました。この記事では、私がKindle出版を通じて実際に経験した浮き沈みと、印税以外に確かに残った価値についてお伝えします。

この記事は、[Kindleは走り続けるマラソン、Udemy・noteは育てる資産——50代からの発信で私が選んだ道]で書いた考え方に至った、私自身の実体験の記録です。

はじまりは、半年間のKindle出版コース

私がKindle出版を始めたきっかけは、あるKindle出版コースを半年間受講したことでした。

コースの内容は、月に一回のZoomグループ相談会に加えて、週に一度くらいのペースで「次にすべきこと」を動画・音声で受け取る、というスタイルでした。グループ相談会には期限が設けられていて、決められた日までに質問を提出しておくと、その次の回で回答がもらえる仕組みになっていました。

執筆の型は、Wordの原稿に一文字ずつ入力していくオーソドックスなもの。構成については「序章が一番大切だから、そこはじっくり考えるように」という指導が印象に残っています。KDPへの申請手順は動画で丁寧に配信されていましたが、表紙の作り方はコースの内容には含まれていませんでした。推奨されていたのは、ココナラなどでコンペ形式の依頼を出し、1〜3万円ほどかけて外注する方法。私自身は、3,000円ほどの価格帯の方に依頼して、表紙を作っていただきました。

「数冊出版すれば、家賃分くらいの印税が入ってくる」という情報がシェアされていました。出版1年目の私は、それを聞いて「そうなんだ、そういうものなんだ」というくらいの、まだ実感の伴わないイメージで受け止めていました。期待もありましたが、同時にどこか半信半疑な気持ちもありました。今振り返ると、あれはセールストークの一種だったのだろうと思います。世間では「7冊以上出版して、しかもSNS発信が得意な人が、やっと月20万円ほど」という声も聞きます。それを考えると、たった1冊で家賃分というのは、やはり現実的な話ではありませんでした。

当時、私は普通に会社員として働いていました。AI執筆というものがまだ存在しなかった時代なので、原稿を書くのはすべて手作業です。土日はカフェにパソコンを持ち込んで、1日6時間ずつ、2日間。平日は帰宅後、食事とお風呂を済ませてから2時間ほど。そんなペースで、執筆を開始してから書き上がるまでにおよそ2ヶ月かかりました。特に最初の2ヶ月は、テーマ探しに時間を取られていて、企画からの合計で言えば、1冊仕上げるのに約4ヶ月かかっていたことになります。

3年目に入って、感じ始めた変化

出版を続けて3年目に入った頃から、少しずつ印税が下がってきているのを感じるようになりました。体感としては、1〜2年目の印税と比べて、3年目以降はおよそ3分の1程度にまで落ち込んでいました。

特に顕著だったのは、家庭の事情で10ヶ月近く出版をお休みしていた時期です。その間、Facebookで時々0円キャンペーンの告知をする程度で、それ以外にSNSでの宣伝はほとんどできていませんでした。

KDPの管理画面を見ていると、2024年に入ってから、急降下と呼べるくらいの落ち込みが起きていました。これは、ちょうどKindle側の方針転換のタイミングと重なっていたのかもしれません。前面に押し出してもらえるのは、コンスタントに新刊を出し続けている著者か、SNS宣伝を頻繁に行っている著者か、こまめに更新を続けている著者。そうでなければ、静かに後ろへ下がっていく。そんな印象を強く受けました。

「そういえば、卒業してから、Kindleもプラットフォームの中で数年経つと自然と売れなくなってくる、という話を目にしたことがあったな」

そのときはじめて、あの話が自分の実感として腑に落ちました。

その10ヶ月間は、私にとって大きな転機の時期でもありました。大阪と東京を何度も往復し、以前住んでいたマンションの売却の手続きにも追われる、慌ただしい日々。並行して、新しくブログとUdemy講座の制作にも取りかかっていて、どちらも初めてのことだったので、そちらにも相応の時間を取られていました。

Kindleだけに集中できる環境が、誰にでも常にあるとは限りません。仕事、家庭、人生の転機——そうしたものは、いつどのタイミングでやってくるか分かりません。だからこそ、お休みしても続いていく仕組みを持っておくことの方が、一般的にはおすすめだと感じています。

Kindle印税は出し続けないと下がる一方

それでも、確かに残ったもの

一方で、はっきりと分かったこともあります。

15冊出版して、そのうち14冊が新着ランキング1位を獲得しました。これは、たとえ印税が下がっても、永遠に変わることのない履歴として残り続けます。

著者としての権威が生まれ、出版そのものが名刺代わりになった。これは紛れもない事実でした。

たとえば、Udemyのプロフィールに「Kindle著者」という肩書きを載せられることは、それだけで十分な権威性の裏付けになりました。出版そのものが決して無駄ではなかったと感じられる瞬間です。コンサルティングの場でも、「15冊のうち14冊が新着ランキング1位」というタイトルは、それなりの実績として、相手に好印象を与えてくれていると感じます。

一方で、初対面の方や読者から「本を出しているんですね」と言われた時、少し一目置かれたような反応をいただくこともありました。ただ、それが逆に距離を感じさせてしまうこともあったので、普段は自分からはあえて口にしないようにしています。

SNSでの発信は、Kindleだけでは十分に行えなかった部分もありました。それでも、タイトルという実績そのものは変わらず残り続けます。だからこそ、実績は実績として、堂々と表示できる。これは今の私にとって、確かな強みになっています。

本を出すことで、読者の役に立てたという実感もありましたし、そこから生まれた信頼は、印税の増減とは関係なく、しっかりと積み上がっていました。

つまりKindleという世界は、「売れ続けるためには出し続けなければならない」という構造を持っています。印税そのものを目的にしてしまうと、この世界は長く続けにくい。でも、印税以外の目的——信頼構築、権威付け、書く習慣——を持って向き合えば、十分に報われる場所でもあるのです。

権威性と信頼は残った

年代によって、向き合い方は変わっていい

もし40代までの方がこれからKindle出版を始めるのなら、その順応性を活かして量産し、印税をしっかり狙っていくのも、ひとつの正しい選択だと思います。

でも50代以降の方にとっては、少し違う使い方の方が賢明かもしれません。

自分の個人事業を伸ばすための権威付けとして。あるいは、自分の専門性を伝えるカタログとして。Kindleをそういう位置づけで使うのは、とても理にかなった方法だと思います。

「本の著者である」ということと、そうでないことでは、周囲に与える印象は確実に違います。その一点だけでも、Kindle出版に取り組む価値は十分にあると、私は今でも思っています。

印税を追いかけるマラソンからは降りても、Kindleという経験そのものが、私の中に確かな資産として残りました。


次の記事では、こうした年代ごとの向き合い方の違いを、もう少し掘り下げてお伝えします。 [50代からの発信は、なぜ”体力勝負”を避けるべきなのか(制作中)]もあわせてどうぞ。

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