―手抜きプロンプトだと不適切な回答に逃げられる
この記事でわかること
- 手抜きなプロンプトを投げると、AIがなぜ「不適切な回答」に逃げてしまうのか
- 実際に制作中に使った、未完成形→完成形のプロンプトそのもの
- 精度を高めるために工夫した3つのポイント
「AIに講座の企画を任せたら、あとは楽できるはず」
正直、そう思っていました。プロンプトを打てば、それなりの答えが返ってくる。今回、3本目のUdemy講座「Udemy講座の設計図を作る」を制作するにあたって、企画段階からAIに壁打ち相手になってもらうことにしたのですが、最初の一歩でいきなりつまずきました。
結論から言うと、手抜きなプロンプトだと、AIは不適切な回答に逃げてしまうということです。今日は、実際にわたしが投げた「未完成形」のプロンプトと、そこから練り直した「完成形」のプロンプトを、そのままお見せしようと思います。
失敗編:未完成形プロンプト
講座の2章では「ネタ探し」の壁打ちプロンプトを紹介しています。最初に投げたのはこちらでした。
「あなたが得意で実際に販売されそうな動画教材のテーマ(ジャンル)を5つあげてください」
一見、シンプルで悪くなさそうに見えますよね。でも、返ってきた回答は、決済ツールの使い方、Kindle出版、SNS発信、Canvaデザインといった、わたし自身がこれまで扱ってきたジャンルに寄った提案でした。
これはこれで悪くはないのですが、わたしが本当に欲しかったのは違うものでした。この講座は、料理でも語学でも子育てでも、どんな受講者でも「自分の得意分野」に当てはめて使える汎用的なプロンプトの型です。それなのに、AIは目の前にいるわたし(会話相手)の情報を拾って、都合よく答えを組み立てていたのです。
原因は明らかでした。「あなた」という主語が誰を指すのか、プロンプトの中で一切特定していなかったこと。この曖昧さが、AIに逃げ道を与えてしまったのだと思います。以前、AI×Canvaで動画教材を作る方法の記事でも触れましたが、AIは指示が曖昧なほど、手元にある情報で「それらしい答え」を作ってしまう傾向があります。

気づき:一度では完成しない
ここで痛感したのは、一度のプロンプトで、望む回答がすぐに完成するわけではないということです。簡単な一文を投げただけでは、AIは自分の解釈で答えを埋めてしまう。だからこそ、簡単なプロンプトに少しずつ条件を足しながら、精度を高めていく作業が欠かせないのだと、あらためて実感しました。
これは、以前Udemy講座を出すメリットについて書いた記事でも感じたことですが、AIを「一発で正解を出す魔法の箱」だと思っていると、ここでつまずきます。むしろ「一緒に育てていく相棒」くらいに捉えたほうが、うまく付き合えるのかもしれません。
改善編:完成形プロンプト
そこで、プロンプトを次のように練り直しました。
「(A:あなたが得意なこと・詳しい分野。例:料理、語学、資格取得、子育て、ハンドメイド、健康法、Kindle出版、SNS発信など)のいずれかに関連する、実際に販売されそうな動画教材のジャンル(テーマ)を5つ挙げてください。それぞれについて、①講座のテーマ名、②想定ターゲット、③そのターゲットが抱える具体的な悩み、④その講座が提供する解決策、を含めてください。『動画教材が扱うジャンル』で考えてください。※(A)には自分が実際に詳しい・関心のある分野を入れること」
試しに(A)にわたし自身の得意分野(Kindle・SNS・Canva・仕組み化)を入れてみると、今度はこんな回答が返ってきました。
① 決済ツール導入・運用の効率化講座 ― オンライン講座を始めたばかりの人が決済設定でつまずく悩みを解決
② 商品を”数倍速”で売る仕組み化講座 ― 属人的な販売作業に疲弊している人向けの自動化提案
③ ブログ上位表示攻略法(SEO講座) ― 検索順位が上がらない人向けのSEO解説
④ SNSで”リプ活”から見込み客を集める講座 ― 反応が薄い発信者向けの導線設計
⑤ Kindle出版で”半自動収益化”を作る講座 ― 出版後の収益導線の作り方
同じ「わたしの得意分野」を入れているのに、未完成形とは明らかに違う、具体的で使える回答になりました。ここで工夫したポイントは3つあります。
1つ目は、(A)という空欄と具体例を並べたこと。「これは誰にでも当てはめられるテンプレートですよ」という意図を、AIに明示的に伝えました。曖昧な「あなた」ではなく、入力する人が自分の分野をはめ込む前提を作ったのです。
2つ目は、①〜④の出力フォーマットを先に指定したこと。テーマ名・ターゲット・悩み・解決策という粒度をこちらで決めておくことで、AIの回答が脱線しにくくなりました。
3つ目は、『動画教材が扱うジャンルで考えてください』という縛りを加えたこと。範囲を絞ることで、関係のない提案が混ざるのを防げました。
未完成形と完成形、文章量にすればほんの数行の違いです。でも、この数行が結果を大きく左右するのだと、身をもって知りました。
この工夫は、ネタ探し以外の場面にも使える
実はこの3つの工夫、ネタ探しのプロンプトだけに効くものではありませんでした。講座を作り進める中で、講座タイトルを決める場面でも、構成・台本を作る場面でも、まったく同じ考え方が通用することに気づいたのです。
たとえば講座タイトルを決めるとき、「魅力的なタイトル案を出して」とだけ頼むと、AIは当たり障りのない案を並べてくるだけでした。でも「①ターゲットの悩み、②タイトルに含めたいキーワード、③避けたい言葉」を先に指定してから頼むと、一気に具体的で使える案が返ってくるようになりました。これは、ネタ探しのときに使った「出力フォーマットを先に指定する」工夫と、まったく同じ発想です。
構成や台本を作るときも同様でした。「わかりやすい台本を書いて」だけでは抽象的な言葉が並ぶだけですが、「誰に向けて、何分で、どんな順番で話すか」を先に条件として渡すと、AIの回答の精度が一段階上がります。範囲を縛る、フォーマットを固定する、対象を明確にする。この3つは、講座制作のどの工程でも共通して効く「型」なのだと、実際に手を動かしながら学びました。
つまり、今回紹介したプロンプトそのものを覚えるよりも、「曖昧さを1つずつ潰していく」という考え方を身につける方が、応用が利くということです。AIとのやり取りは、質問を1回投げて終わりではなく、返ってきた答えを見て「何が足りなかったか」を確認し、次の指示に反映させていく、対話の積み重ねなのだと思います。
この考え方は、今作っているUdemy講座の3章(構成・台本をAIと作る)、4章(スライドに落とし込む)でも、形を変えながら繰り返し登場します。ネタ探しの場面で身につけた「曖昧さを潰す」感覚が、そのまま台本作りやスライド作りにも活きてくる、という流れです。

全体を通じて伝えたいこと
ここまで動画教材を作ってきて、最初からすべてが順調に収録できたわけではありません。今回のプロンプトのように、思った通りの答えが出てこず、何度も条件を足しながら修正する場面が何度もありました。以前、仕組み化を進める中で感じたことにも書きましたが、こうした躓きは、そのまま次の制作に活きる学びになっています。
これから動画教材を作りたいと考えている方には、ぜひ本講座を通じて、わたしが遠回りした部分を少しでも回避して、制作に挑んでいただけたらと思っています。
おわりに
3本目のUdemy講座「Udemy講座の設計図を作る」は、近々リリース予定です。企画から台本、スライド作成まで、AIとの実際のやり取りを交えながらお伝えする内容になっています。詳細はまた追ってご紹介します。


